11話 恋とは何ですか?
あらすじ
高校生になり、友達と部活動見学に向かった一信《かずのぶ》。弓道部に入ろうかと考えて、人だかりが無くなっても見学を続けていると優しげな部長から声をかけられ道具を見せてもらえることに。そこで遅れてやってきた三年生の先輩 高木(たかぎ)と出会う。
物憂げな表情で無口な高木は、冷たい印象を受けるが一信は次第に彼の優しさに気づいていく。弓を引く姿の美しさに惹かれ、高木自身へも惹かれていく一信。最初は困ったようにしていた高木も少しずつ心を開くようになり、明かされていく高木の危うさ。人間の醜さ、鬱屈を想いながらも、少年たちが愛とは何なのか考えていく物語。
俺はその日、返信をしなかった。いつもならメールが届いたその日にすぐ返すのに、どうしてかそれをせず、変わりに、俺の足は随分昔に一度行ったきりの、父親の仕事場へ向かっていた。
会いたかったんじゃない。
三味線が鳴り出すのが怖かっただけだ。
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