羅刹の娘 第一章08

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※残酷な描写、性的な描写があります

あらすじ
人口の約30%が霊力を持ち、妖《あやかし》と呼ばれる人間とは異なる種族との共存が求められる社会。共存とは言うものの、霊力の少ない人間からすれば妖は脅威である。従ってそれらと対抗する術を学ぶための学校が存在する。──その中で名門校である土御門学園に所属する少年少女の物語。
本作は高校生編と中学生編で構成されている。
高校生編では、新しく生徒会に選ばれた高校一年の三丿神《さんのかみ》が、同じく一年生で生徒会に選ばれた三幸《みゆき》と出会い、どこか陰のある美しさに惹かれながら彼女の心を知ろうとする。様々な男を翻弄し、従えるために手段を選ばない三幸の真意とは……?

   【8】  三幸がここのところ機嫌が良さそうに見える、と三丿神はなんとなく感じていた。いつもは機嫌を悟らせるようなことすらない彼女からそう感じるのだから全くの気の所為ということもないだろう。 「なんかいいことあったか?」  聞いても素直に答えてくれるとは思わなかったが、尋ねると彼女は紅茶の香りを楽しみながらこう言った。 「少し、ね」  どうやら本当に、というか相当に、機嫌が良いらしかった。 「何があったんだ?」 「大したことじゃないよ。ましてや……三丿神君みたいに二体も上等な使鬼を持ってるような人からしたらね」 「つれないこというなよ。てことは使鬼関連のことか。もしかして、この間言ってた使鬼と仲良くなったのか?」 「仲良くってわけじゃないけどね。でも、確実に裏切らない相手がいるというのは悪くない気分だよ」  三丿神は一瞬息を呑んだ。この間も思ったことだが、彼女は確かに人としては聡明だったがこと妖に関しては知らないことが多い。学校で習わなくとも、普通は家で親の会話を聞いたり、時には教えてもらったりしながら勝手に知るものだが彼女にその機会はなかったのだろう。  使鬼は絶対に裏切らない──とは言えない。だからこそ我々は彼らとの関わり方に注意し、よく学び、そうしていつの日か自分の霊力が衰えた時に備えるのだ。自らの使鬼を制御できなくなったとき、彼らを解放し、それでも牙を剥かれることのない関係を築いておく必要がある。それが出来ず使鬼を奴隷のように使って年老いてから惨殺された術者というのは歴史上少なくない。 「私が遅くまで寝ないでいると部屋の明かりを勝手に消すのは困っているけどね」  そう言いながら、彼女はやはり嬉しそうにしていた。  事実、嬉しいのだ。心配されて、お節介を焼かれて、それが絶対に自分の味方だと思える相手から、一切の他意もなく……少なくとも彼女はそう思える状態で。盟約によって縛られている相手だと思うからこそ、安心して。  自分だって、同じように彼女の心配をして、彼女の味方であるのに──と。嫌な感情がちりちりと胸を焼く。  しかし、今ならば。彼女が機嫌の良さをにじませるほど隙を見せている今ならば、自分のことも受け入れてもらえる可能性があるのではないだろうか。一度、守られることを知ったならば、頑なに善意を疑い拒絶する彼女も……そんな思いで俺は努めて冷静に言った。 「みゆきちゃん、良かったら今度出かけない? 情報交換しよ」 「情報交換? 何の?」  即座に断られない時点で勝算がある。三丿神は敢えて言葉を少なく答えた。 「使鬼の」  これは三幸のよく使う手だ。答えを少なくすることで相手に想像させる。相手が勝手に思い込む部分が多いほど、人は自分の都合よく事実を捉えてしまうもの。 「あぁ。そうだね。いいよ」  そうして驚くほどあっさりと彼女の休日を手に入れた。  彼女が機嫌よく振る舞うことも、ひとつのパフォーマンスであることには思い至らずに、三丿神は三幸のいないところで大いに喜び、ガッツポーズをきめていた。 「良かったのか。あの言い方じゃ、気づいてないだろう」  自分を心配する男の不満げな声に、髪を梳かしながら、鏡越しに答える。 「構わないさ。あのくらい無邪気なほうがやりやすくていい」 「放って置くとつけあがるぞ」 「そうしたら躾けてやればいい。その労力を払うくらいには価値がある。家も、彼自身もね。千尋もあれとは上手くやれと言っていることだし。どんな能力か知らないけれどS級なんだ。仲良くして損はない」  隙を見せるのは、最も簡単なテクニックの一つであると、彼は知らない。彼の邪な感情など、彼女の前では子どもの嘘のように可愛らしいものに過ぎなかった。 「てっきり、あの男を信用するのかと」  拗ねたような声に、彼女は気を良くして。髪を梳かしていた櫛を置くとソレの方へ振り返る。 「馬鹿なことを。もう三年も私を見ているんだから知ってるでしょう。いや、お前が祖父の元に来たのはもっと前からだから……まぁ、そのときは私のことなんて意識にもとめてないだろうけど」 「知ってるさ。お前が信じていたのは、母親だけだった。でも、今は俺も信じてくれるんだろ? ならあいつのことも、信じたっておかしくない」 「……私は、私を一番に考えてくれる人でなければ、嫌」  今度は彼女が拗ねたようにそう言った。子供じみた願いだった。でもそれが全てですらあった。家族がいる人、友人がいる人、恋人がいる人、彼女はどれも信じなかった。その大切な誰かのために自分が切り捨てられると思っていたから。  だから 仲間を持たない妖を信じた  私以外の全てを捨てて  私も あなた以外の全てを──……    ***  ウキウキで、お気に入りのデニムジャケットを羽織り、家で何度も鏡を見たのにまた街なかのショーウィンドウの前でも確認する三丿神を遠目に見て三幸は小さく笑った。 「そんなに心配しなくても、ちゃんと似合ってるよ」  背後から飛んできた声にびっくりして振り返る。 「三幸ちゃん! 制服じゃないとよけいに大人っぽく見えるな!」 「ありがとう」 「それじゃ、行こうか」  行き先は公々にゆだねてある。とは言っても、目的はあくまで情報交換なので精々食事くらいかと思っていたが、彼は意気揚々と行き先を告げた。 「まずは水族館な」  もう少し体裁を取り繕ってくれないだろうか、と思うが彼はバックの中から二枚のチケットを取り出して、その水族館の見どころを教えてくれる。これでは完全にデートだろうと思う。思うけれど、まぁ、いいか……。 「電車で二駅? 近いね」 「だろ! ちょうど今から行けばイルカショー見れるからさ。どうせ話すなら楽しいとこがいいだろ?」  彼としてはこれでも体裁を保っているつもりらしかった。 「そうだね」  呆れたような三幸のほほえみを了承と解釈した公々は嬉しそうに道案内をはじめた。  純粋な、三幸からすればあまり馴染みのないデート。イルカショーには無事に間に合って、二人でカッパを被って最前列で楽しんだ。何も知らない人から見れば仲睦まじいカップルに違いない。 「カッパを着てても濡れるね」  スカートの裾を持ち上げて言う三幸に、公々は申し訳無さそうに謝りながら寒くないかと心配した。 「このくらいは平気だよ。もう6月だし、今日は温かいからね」  カラッとした笑顔で笑う彼女は、学校での冷たい表情からはかけ離れていた。公々は、ますます彼女が好きになる。頭では分かっていても、心が淡い期待を捨てきれずにいるのだ。もしかしたら、自分だけは特別になれるのではないかと。  けれども、その眼差しを見逃すほど彼女は心を許していない。 「三丿神くん」  明るい声で、けれど暗い館内に合ったトーンで名を呼ばれ、なにか飲み物でも買ってこようかとあたりをみまわしていた公々は振り返る。  そろそろ、水族館に入ってから二時間が経っていた。 「お話、しましょうか。歩きながら、ね?」  穏やかなほほえみが、すでに気安さの無くなったものだと理解した公々は大人しく頷く。 「飲み物だけ買ってきてもいいか。何飲みたい?」 「あぁ、じゃあ桃ジュースをお願いしても良い? ペットボトルの小さいのが良いな」 「了解!」 「ありがとね」  線を引かれているのが分かっていながら、拗ねたような態度を取らないのは立派だと三幸は感じていた。それも、押せば何とかなると思っているわけではないのが珍しかった。その点で言えば確かに三丿神は他の男とは違う存在で、千尋が気に入るのも納得できる。  愛されて育った者の純粋さ、のようなものが三丿神にはあった。他人に大して誠実であろうとする姿。そのうえ人懐っこくて、でも頼れるところもある芯の通った人。もしも自分が普通の女の子だったら、きっとあんな人に惹かれるんだろう。  でも、私は普通の、幸せを求める女の子じゃない。そして彼もまた、そうではない私に興味をもったのだ。 「お待たせ!」 「……ありがとう」  笑顔で、隣のベンチに座った彼に嫉妬すら覚える。 「私も、君のように生きてみたかった」  ふいに言われた言葉に驚いて公々は目を丸くした。 「どういう……意味を聞いてもいいか?」 「……三丿神君は、本当に真っ直ぐな人だと思ってね。今日だって、チケットを用意して、時間を調べて、そんなことをしても君の望む関係になれないことは、分かっているでしょう?」 「いやいや、俺は友達として! 友達として三幸ちゃんと仲良くしたいだけだから!」 「そういうことにしておいても良いけどね」  三幸はまた、呆れたように笑った。とても同い年の少女とは思えない憂いをたたえて。 「でも、別にまっすぐに生きたいんだったら今からでも遅くないんじゃないか?」  彼女の真意が掴みきれないまま、ともかく悩みを向こうから話し始めてくれたなら多少は心を開いてくれている好機だと思い、アドバイスを試みる。 「いろいろな関係を精算するのはそりゃあ簡単じゃないとは思うが、それこそ三幸ちゃんの得意分野じゃないか。もちろん、俺や、千尋先輩も協力してくれると思うし」  さて、会長はどこまで知っているのか、公々は分からなかったのでこの場で名前をだすのは控えるが、でも何かあれば助けてくれる人だと思う。 「あ、それに、一宮先生も、三幸のことは気にかけているようだし」  その言葉が引き金だった  彼女は顔色を変えた    鈍い俺にも分かるくらいにはっきりと 目に殺意を宿して  こちらを見上げた  6月の空気は まだ湿っていて 生暖かく  嫌な汗が 背中をぬらす 「どうして、何の力もない私が、生徒会にいると思う?」  湿度を含んだ彼女の声がそう尋ねる。 「……それは、一宮先生が推薦したから……」 「そう。なんで推薦したと思う」 「もちろん、三幸ちゃんが優秀な生徒だからだろ。傍から見ても、Cクラスの中でも成績優秀で、仕事も早くて……!」  必死に彼女の長所を言い募る。分かってはいるのだ、公々も。それだけで生徒会に推薦されるはずがないと。優秀で、階級の高い生徒など他にいくらでもいるのだから。強いてあげるなら家柄だろうか。確かに彼女の家は伝統のある名家であり、祖父の代から急激に力を伸ばしたこともあり、御角家に頭が上がらない家も多い。けれどもそれは同時に疎まれる理由でもあった。歴史を辿っていけば御角は分家、本家筋からはよく思われていないのは事実。家の力だけで生徒会に入ろうとすればそれを阻む者が現れてもおかしくない。そして、それを黙らせるだけの口実を作るには、彼女はあまりにも力不足なのが事実だった。 「一宮先生はね、本当はなんの力もないの」  優しく、言う。 「あの人は次男で、上にね、S級のお兄さんがいるの。前に三丿神君が『龍』って呼んだとき怒ったでしょう。お兄さんが龍だから。その後に生まれたスペアには龍巳ってつけられたんですって。だからあのひとは自分の名前が大嫌い」 「スペア……って」  青ざめる公々を無視して彼女は続ける。 「お兄さんはね、それは強い人だよ。若くして当主の座を継いで。私の母が死んだ時から実権はほとんどあの人にあったと言ってもいい。だから、母の葬儀にもあの人が来た」    ***  二月 母が死んだ  庭にある枯井戸の中に落ちて 真っ白く硬い雪の中で死んだ  学校が少し早く終わった日だった  まだ十歳 父の存在は無いに等しく 唯一の味方を失うには早すぎた  葬儀では継母から買い与えられた丈の合わないワンピースを着て、自分の意志はなにひとつ介入しないまま何もかもが進んでいく。  全てが憎かった。  血の繋がらない継母も、それに操られて私達を見下す妹も、血がつながっているのに何も助けてくれない父親も。そしてそれらの目に怯えて私達をあしらう使用人たちも。私を視界にすらいれることのない祖父も。  全て。  普段は冷たかった人たちが涙を流すのも、上辺だけの弔いをするのもいやで、恐ろしくて、その上、母とは関係ない人々が母の遺体の前で手を合わせるのが不気味で、その場を逃げ出した。  広い家の中を走る。いつもなら使用人が行き交っていたり人の声が聞こえている廊下が、今は静まり返っていて、焼香の匂いがまだ鼻に残っている。  死の気配──滅紫けしむらさきのような匂いのする煙以外なにもいない世界。  こわくて、走って、やみくもに家の中を抜けて離れにある納屋の中で泣いた。そこは埃と古びた木の妙に甘い匂いがして、いつもと変わらない場所だった。好きな場所ではない。でも今だけはそこが落ち着いた。そこにいれば、母が探しに来てくれるような気もした。  けれど 現れたのは母ではなかった  知らない男  使用人に過ぎない母の葬儀に現れるにはずいぶんと上質なスーツに身を包んだ男。  それは最初優しい声で泣きじゃくる私の頭をなでた。でもよく見ると男は笑っていた。おかしい、と思って、怖い、と気づいて、逃げようと──。  そこから先はおぼろげな記憶。  体に纏わりつく不快感。男の愛欲が全身をナメクジのように這う。恐怖で叫びだしそうになるのを抑えた。時折もれる嗚咽だけが私の悲鳴。逃げればそこに痛みが伴うことも、その抵抗が無駄に終わるのも理解していたから。  だから私は受け入れた。全てを。  いつの間にか閉め切られた納屋の扉から  助けがくるとは もう思わなかった  私は守られる子供ではなくなった  私は鬼になった    私に恐怖を与える全てのものへ裁きを下すために  私の憎悪に一番初めに気付いたのは、今まで無関心だった祖父だった。あの人からすれば息子の醜聞などどうでもよく、使用人を孕ませようがその子供が冷遇されようが何の関心も無かった。けれども、家の中で誰も味方が居なくなって、かといって出ていく力もない子供が、目の色を変えたのは面白かったのだ。 「客人が来る。お前と同じ年の子だ。あとでお茶を持ってきなさい」  突然そう言われて。掃除の手を止めて急いで身ぎれいにしてから指示された通りお茶を持って行った。  座っている子供はすぐに、良い家柄の息子だということが分かった。大きな目をキラキラさせてこちらを見ている。視線を少し上げると目があった。微笑むと、彼も嬉しそうにニコリと笑った。 「あの子供はS級の霊力を持っている。まぁ、あの家は変わり者ばかりだから関わることはないだろうがな」  親子が帰った後、呼び出されてそう言われた。関わりが無いのならなぜわざわざその話をするのだろうと思う。 「今日の様子で分かったろう。お前の容姿は武器になる。上手く使って立ち回ることだな」  それから祖父は私に話しかけてくることはなかった。けれどたった二年でまた状況が変わった。継母と妹が交通事故で死んだのだ。  正当な後継ぎであった妹が死んだ今、その権利は私のものになった。  正妻である継母と妹の葬儀は盛大に執り行われ、今まで私をあしらっていた使用人たちは青ざめて私の顔色を伺った。  父だけが、変わらず棺桶に泣き縋って。二年前の葬式のときよりずっと気分が良かったが、私は他にやらなければいけないことがあったから葬儀を抜け出した。  あの時と同じように。広い家を抜けて、庭の奥へ──。  そこで腕を掴まれて私は振り返る。 「どこへ行くんだ?」  あの時と同じ顔で笑う、あの時より価値の上がった男が立っていた。 「……納屋へ、行こうと思ったんです」  微笑んで、一歩あゆみよれば男は簡単に堕ちた。  そこから先は、私の人生のはじまり。    *** 「一宮先生にはすぐにバレてしまって、中学校で合った時に関係を迫られたけれど──きっとお兄さんのものを奪ってしまいたかったのだろうね。でも、私が涙を流しながらお兄さんのことが怖いのだと言ったら、すぐに顔色を変えて私の味方になってくれたよ」  三丿神は握りしめた拳から血が滲んでいるのにも気づかないほど、こらえていた。 「血管が切れてしまいそう」  薄ら笑う三幸の言葉すら、今は腹立たしい。 「怒っているの? 先生に対して? それとも私の家族に対してかな」 「全部だ」 「それは大変」  彼女はやはり笑っていた。 「お前にだって、俺は怒ってる。まわりの人間が、悪いのは分かる。間違いない。辛いのも、でも、それでも自分の心を無視しないでほしい。そうやって笑って、嘘をついて、忘れないでくれ。人を利用したっていい。でも、それで自分を見失ったら壊れてしまう。怖いのを押し殺し続けたら、いつか本当にわからなくなってしまう」 「そう。私は、自分の苦しみに向き合い続けられるほど強くは無かったの。だから、すべて憎むことにしたのさ」  笑っている。違う、彼女の笑顔は弱さじゃない。嘘じゃない。 「憐れんでくれるなら、一宮の兄さんを殺してよ。私ではどうにもできない、私を好き勝手したい人を、みんな殺して。私は、私を守るために出来る精一杯のことをしているんだから。あなたが私のためにその手を汚してくれるなら、生き直すことも考えたっていい」  笑って。血を吐くような苦しみをほほえみという花にして。彼女は生きてきた。  彼女は自由ではなかった  彼女は奪われていた  彼女は恐れていた  彼女は望んでそれをしているわけではなかったけれど  誰かに期待もしていなかった    俺は彼女のために殺人者ひとごろしにはなってあげられない  己の一生を捧げてあげることはできない  けれどそれ以外の方法で彼女の恐怖としがらみを断ち切る力は  ない 「……ごめん」  何も出来ないことを、しょせん他人事にすぎない忠告の無意味さを痛感してそう言う。 「いいんだよ。一宮先生だって、他の人だって、みんな最後にはそう言うの」  最初からなにも期待はされていなかったのだろう。彼女が少しでも心穏やかでいるためにはそれが最善なのだから……そう思っていると。 「三幸、嫌な気配がする」  ふいに背後から声が降ってくる。思わず振り返って誰の姿も無いことに気づいてからそれが彼女の使鬼の気配であることに気付いた。 「つけられてるかもしれない。気づくのが遅れた、悪い」  姿はなく、声だけが低く響く。公々も瞬時に周囲の気配を探るが、行き交う人が多く読み取りづらい。 「……帰ったほうが良いかもしれないね。三丿神くんも念の為気をつけて。今日は楽しかったよ」  そう言って立ち上がると足早に彼女は深い影を伴って消えていった。

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